令和8年(2026年)6月26日から28日の3日間、庄原市比和地域を中心とした市内各所において、「さとやまお試し留学」を実施いたしました。今回は県内外から7名の留学生を迎え、2泊3日の行程で本市の魅力と地域づくりの現場を体感していただきました。

■1日目


台風の接近に伴い芸備線が運行休止となるなど、一時は開催も危ぶまれましたが、無事に県内外から7名の留学生が集まりオリエンテーションがスタートしました。

まずは「比和自然科学博物館」を訪問。森繁館長から比和に生息する生き物や地層、地域の歴史についてお話を伺いました。日本一モグラの標本が多い博物館としても知られており、留学生たちは初めて触るモグラの毛皮の「思ったよりもふわふわ!」な質感に、自然と笑顔がこぼれていました。

次に、ご夫婦でカフェを営まれている「ノラの家」にて、コーヒーの焙煎体験を行いました。焙煎したての豆をすぐに挽いて淹れたコーヒーは香り高く、すっきりとした後味で留学生からも感動の声が上がりました。はじめは緊張していた留学生たちでしたが、焙煎体験の時間を共有する中で、あっという間に打ち解けた様子。滝川ご夫婦へ比和での暮らしについて質問したり、美味しさを共有したりと、温かい時間を過ごしました。

夜は「お食事処しごんぼ」にて、地元の方々を交えた交流会を開催。地元産のお米で作られたおにぎりやお好み焼きなど、たくさんの手料理でもてなしていただきました。食卓を囲む中で、地域の方々のあたたかさに触れ、和やかな時間となりました。

■2日目

2日目は、農業をじっくりと体験する一日です。

午前中は「白根りんご農園」にて摘果作業を実施。園主の浩治さんからレクチャーを受け、リンゴを間引く作業を丁寧に繰り返しました。作業が進むにつれ、留学生たちはリンゴ農家の仕事に興味が湧いた様子で、浩治さんに積極的に質問する姿が印象的でした。春から夏にかけて続く摘果作業の大変さに驚きつつ、なぜリンゴ農家になったのかというこれまでの歩みにも真剣に耳を傾けていました。


お昼にはジビエバーベキューを堪能。臭みのない絶品イノシシ肉と、加奈さんが作る絶品のシシ汁をいただきました。白根ご夫婦は害獣対策のために猟師もされており、ジビエを美味しくいただくことが農家や地域を守ることにつながっているという背景も学びました。

午後は「株式会社宝郷」にて、農業機械の試乗と田植え作業を体験しました。こちらでは圃場の状況に応じて機械を選択して草を刈っているそうで、留学生たちは初めて機械を使った草刈りに挑戦。機械ごとに宝郷のスタッフさんがつきっきりで親身に指導してくださいました。留学生からは「楽しい」「庄原でもこんな機械を使って大規模に農業を展開しているところがあるなんて驚いた」といった驚きと喜びの声が上がりました。


その後の田植え作業は、田植え機で植えきれなかった場所に、人の手で稲を補植していく作業を行いました。裸足で田んぼに入るのが初めてという留学生も多く、はじめは足元に苦戦していましたが、次第にコツを掴み、一生懸命に稲を植えていきました。「手植えがこんなに大変だとは思わなかった。改めて農家さんに感謝したい」といった感想も聞かれ、体を使って地域の営みを実感する刺激的な一日となりました。

■3日目


3日目の朝、2日間お世話になった宿泊施設「かさべるで」を後にし、小雨が降る中でサイクリングへと出発。自転車で比和町三河内の地域内を巡りました。

三河内地域自治会会長 奥田さんのガイドのもと、「長者屋」などの古民家の歴史や、棚田テラスから見える美しい景色についてお話を伺いました。「10年後には見られなくなっているかもしれない景色」というリアルな現状にも触れ、地域の風景を守ることの意味を考えました。その後は、比和自治振興区事務局長 荒木さんの案内で「観音滝」へ。雨の影響もあり、水量豊かでダイナミックに流れ落ちる滝の姿は圧巻でした。かつて観光スポットだった面影を随所に残す、秘境のような雰囲気を満喫しました。

その後、「比和山八幡神社」を訪れ、広島県無形民俗文化財に指定されている「比婆斎庭(ひばさにわ)神楽」を体験しました。厳かな舞を見学した後は、実際に太鼓や竜笛の演奏にも挑戦。宮司の伊達さんからは、この神社で代々大切に受け継がれてきた伝統についてお話を伺いました。時代が変わっても文化を絶やさぬよう、地域の人々を上手に巻き込みながら大切に伝統を継承されている様子に触れ、比和の人と文化のつながりの深さに感動するひとときとなりました。

「えのきや」で昼食をとった後は、比和自治振興センターにてワークショップを実施。「庄原ファンを増やすためにはどうすればいいか」というテーマのもと、2チームに分かれてアイデアをまとめました。発表では、「たたらロードの開拓」や「庄原の雇用創出をサポートするプログラムの作成」など、それぞれの視点から「庄原にあったら良いな」を具現化したアイデアが飛び出しました。

自分たちの考えがまとまるまで、もっと時間が欲しいと真剣な表情で取り組んでくれた姿が印象的でした。そして、感想にて「また、庄原に関わりたい」「また、庄原にきたい」と言ってくれた留学生が多くいたことが何よりの成果でした。また再会することを約束し、広島行きのバスに乗り込むのを見送りました。

3日間のプログラムを通して、留学生は地域の皆様のあたたかさに触れ、庄原における暮らしのリアルを肌で学ぶ有意義な時間となりました。最終日のワークショップにおける真剣な議論や、「次は2週間のインターンに来ます」という留学生の前向きな言葉は、本市の関係人口創出・拡大に向けた確かな成果であると捉えております。